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原発被害相談を経験して
カテゴリ: 番外編 / テーマ: 福島県 / ジャンル: 地域情報
最近、原子力損害賠償機構が主催する被災者相談を担当する機会がありました。福島県内の仮設住宅に弁護士が直接おもむいて行われる相談です。
午前中に大まかな制度・考え方を説明する全体説明会が行われ、午後は個別の相談を受ける形になっていました。

私が担当したところは200戸規模の割りと大きな仮設住宅地でした。
仮設住宅は、市街地にあったり、少し離れたところにあったりですが、同じような建物がならんでいます。同じ福島県内といっても生活の環境はずいぶん違うらしく、寒さや暑さに苦戦しているという話も聞きました。4月にもかかわらず、雪が降っていました。仮設住宅は要はプレハブですから、普通に生活しても夏はすごく暑くて、冬はすごく寒いです。私がまだ実家にいたころにプレハブの離れにいたのですが、温度計が夏は38度を超え、冬は氷点下になっていました。関東でこれだから、福島の冬はもっとつらいのだろうと思います。エアコン程度では厳しいです。このような状況もあってか仮設住宅を出る人も多くいるようです。
私が行った仮設住宅は多くの方が残っているはずなのに、静かでした。あまり人の動きが感じられませんでした。時折、遊んでいる子供が見えるくらい。もっと人はいるはずなのに・・・売店がありましたが、売店もぽつぽつと人が来るくらいでした。さみしげな雰囲気を感じました。

さて、せっかくの相談会だったのですが、盛況とはいきませんでした。
東電が3カ月に一度送ってくる請求書により、請求することで当面の生活をどうにかしようという思いが強いのか、それとも東電の提示が普通だと思っているのか・・・
当初、東電の請求書は100ページを越えるもので、しかもいわゆる清算条項が明記されていたため、強い非難を受けていました。清算条項というのは、簡単にいえば「これ以上の請求をしない」ということを約束させられるものです。一方的な加害者からの提示を受けさせられるというのは、例えば交通事故なんかでは到底納得いかないことですよね。最近、清算条項がなくなったのではないか?と言われていましたが、よくよく読んでみると「(東電が作成した)明細書の金額に納得の上、支払いを請求する」という趣旨のことが書いてありました。これは読み方によっては、請求した期間の損害額は、東電が作成した明細書の記載した金額のとおり、すなわちそれ以上の請求はしません、という意味に読めます。表現を変えることで批判をかわしつつ、結局は同じ結果を求めているずるいやり方だと思います。この請求書に署名・押印しなければ東電からの支払いは「すんなりとは」受けられません。被災者にとって選択の幅が狭まります。

「すんなりとは」と書きました。
原発の災害には、中間指針などで被害弁償の基準みたいなのが示されていますが、実はこれにより被害弁償額が確定したわけではありません。どういった損害についてどのような考え方をとるのかについては、正直現場も固まっていません。例えば中間指針では慰謝料は月10万円と言っていますが、これは交通事故の自賠責で補償される最低限度の金額になります。任意保険の会社が提示してくる金額でも、もっと上のものですし、裁判では更に上になります。不動産についての被害をどう考えるのかについては、まだまだ回答は出ていませんし、東電とは本当に揉めるところだろうと思います。
ただ、現状で裁判を行うというのは、正直あまり賢い選択ではありません。どれだけの期間がかかるか全く予測不能です。その間に何も支払いを受けられないのでは、生活は成り立たないです。
現在の手段として、ベストではないけどベターなのが、機構のADRなのだろうと思います。処理が遅れているようですが、事例を処理していくうちに一定の基準ができていくので、今後処理の速度は上がっていくと予想されます。労力はかかりますが、東電が普通に提示してくるよりも上の金額で、しかも清算条項の心配をもたずに和解することもできます。残念ながらADRは、東京と郡山でしかできないから移動などは厳しいかも知れません。ただ、何かを変えるためには動かなければいけないというのも間違いないところです。
個人で難しいと思えば、弁護団などありますので、こちらに相談するのもいいと思います(日弁連の紹介ページ)。

被災者の思いもいろいろでした。会社を経営していた人は、会社を奪われ、仕入れに使った借金だけが残りました。しかし、東電は、仕入れに使ったお金を賠償しようとはしません。安く済む考え方にたってきます。会社をがんばって経営していた人と働いていなかった人が同列に扱われることにも不満があるようでした。これについては賛否両論あると思いますが、最終的には差がでると思います。東電で働いていた人とそうでない人の思いの違いもありました。津波ではなく、原発という人が作り利益を得ていたものから発生したものであるが故に理不尽だという思いは強くなります。

災害発生から1年以上経過して、なんとなく落ち着いた雰囲気が漂いはじめています。ただ、まだ何も解決していないです。
我々法律家は、「適切な」損害賠償を実現させることを主眼として対応しています。難しい問題はたくさん残っていますが、一歩一歩進んでいかなければいけないのだろうと思います。


仮設住宅を訪れて、なんとなくさみしさを感じる雰囲気を感じました。
自分にできることをもう一度考え直してみたいです。

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2012.04.14 / コメント:: 0 / トラックバック:: 1 / PageTop↑


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Author:弁護士やす
Jリーグ創設元年からJリーグの試合を追いかけています。弁護士の職業よりもJリーグ観戦歴は長い(笑)
サッカーだけでなく、法律がかかわる問題を簡単にご説明いたします。

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